自分は一昨年の秋から、昨年の十月に懸け、一年間餘歐洲諸國を遊歴し、其傍巴里・倫敦・伯林・聖彼得堡等の國都で、先般燉煌及支那の西陲から發見されて、一時斯學界を賑はした、漢代の木簡、及びに書いた漢人の尺牘、六朝及び唐代の舊抄卷子本やら、且つ古抄本の一部を筆録して歸つた。又同時に歐洲に名高き支那學者の門を叩きて、其緒論を聽き、支那學を一科目と立てある大學若しくは東洋語學校などゝ名の附く所は、必ず參觀して、支那に關する各般の研究が如何に行はれつゝあるかを見て尠なからぬ利益を得たが、以下歐洲に於ける支那學の現状を國に順うて略敍して見たいと思ふ。
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